イタリア製皮革、建築士のビジネストランクケース

MEX-model

皮 革:イタリア製ヌメ革
    MAURO SANI
    BUTTERO Black
内 張:ボンセーヌ/チャコール色
芯 材:桐枠
サイズ:455-340-100mm 
仕様 ・内部フラップに焼印
  ・錠前Amiet Z-6610
  ・把手2面取付け
  ・金芯把手A-4
   底鋲も2面取付け
  ・蓋内側大ポケット×1(内部で
   着脱式仕切り)
  ・中仕切板(着脱式)

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2015年3月4日

革製の造りの良いトランクを探して辿り着いた次第です。
昔はトランクを作ることができる職人さんが多くいらしたと記憶していますが、安くメンテナンスがほとんど不要な樹脂製が増え、今ではまともな造りの革トランクを製作しているところは数えるほどしか見つけられません。
購入はまだ少し先になるかもしれませんが、先ずはカタログをよく読み込んでおこうと思いますので、よろしくお願いいたします。(東京都 MEXさま )

2015年8月

その後、カタログをよく読ませていただきました。
また、他店のトランク・アタッシュケースも見ることができる物は見たりしながら、
仕様を考えている最中でございます。
永く使いたいので後悔しないよう、慎重に考えています(笑)。

因みに見ることができたトランクやアタッシュは、
T製造所さんとCさん(豊岡製)、海外製品ではイタリアのキルアージ製です。

今のところの方向性ですが、

用途としては、
仕事でA4紙ファイルやA3クリアホルダーを持ち歩くことが多い。
ごく稀に1~2泊の旅行に行くときにも流用したい。
という目的から、
混み合う通勤電車での移動も考慮して縦でも持てること。
縦にした場合も床におけるよう底鋲付き。
外装背面にはA5?A4サイズ程度のマチなしポケット。
(もしくは小さめの蓋つきかジッパー式ポケット)
蓋側内装には横いっぱいのポケットが一つとチケットホルダー。
下側は中身を隠すことができる仕切り蓋付き。
というようなアタッシュケースとトランクの中間のような仕様で、
シンプルなものを考えております。

サイズ的には、
縦はA4紙ファイルが入るサイズ、
横はA3クリアホルダーが入るサイズ、
厚みは内法有効で9cm~10cm程度が妥当かと考えています。

仕事柄、建築現場へいくことも多いため、
張りのある強い皮革を仕上げに使いたいと考え、
傷も味のうちとして見える、
WILDSWANSさんで使われているベルギー・マシュア社のサドルアップレザー、
もしくは、イタリア・ワルピエ社のブッテーロ、(いずれも色は黒)
あたりのトラを活かしたような、
経年変化で少しワイルドな感じになるオイルレザーが良いかななどと思っています。

金具類はメッキやコーティングのない真鍮製が好みです。
黒ずんでくることは承知しておりますが、
いつまでも綺麗なままではなく、革同様に変化がある方が好みです。

サドルアップはWILDSWANSさんのトートで、
ブッテーロは小物や大判のデスクマットで使用しておりますので、
革の特性はよく理解してはおりますが、
果たしてこの辺りがアタッシュケース向きか否かが判断できませんが、
今までのご経験からいかがでしょうか。

もしも以前似たようなサイズで作られた鞄があり、その型など流用できるものがございましたら、新たに型を作る手間も省けるかも?
などと考えております。

今年の秋口あたりに、できればそちらへお邪魔したいと考えております。
それまでにもう少し仕様を考えてみますので、
その際にアドバイス等いただければと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

その後、10通程のメールのやり取りがあり、10月中頃にショウルームにて打ち合わせをさせていただきました。東京からFIATのビンテージカーでドライブして来られました。

完成したものが、この堂々とした鞄です。

縦横2方向に持て、それぞれの底面に鋲が打たれています。縦方向の把手は
不要時は本体に沿うタイプです。
書類を入れるポケットと、大きな焼印入りフラップ。
ポケットは内部で左右に仕切られるように、着脱式仕切り付です。
本体内の荷物は仕切り板でカバーされます。仕切り板は不要時は取り外し出来ます。
鞄を開く際、底に当たる面にも底鋲がついています。この鋲は持ち運び時に
体に当たらないよう、高さの無いタイプの鋲です。

完成後に頂いたお便り:

匠乃固鞄 門田 様

お世話になります。
先ほど無事に到着し、早速仕上がりのほどを確認させていただきましたが、
梱包を開けた瞬間に漂うブッテーロの香りに、否応なしに期待が高まりました。

恐る恐るプチプチを剥がし、不織布を外してみると・・・
待っていたのは感動でした。

これはもう、「素晴らしい!」の一言に尽きますね。

心落ち着かせながら、各部寸法の確認をし始めましたが、
見るにつけ、ディテールの良さに目を奪われてしまい、
なかなかチェックが終わりませんでした(^^;;。
結果、全く問題ありませんので、どうぞご安心ください。


さて、なかなか直接お会いしてお話しできませんので、
感じたことをお伝えしたいと思います。


外観
とにかく迫力満点!ですね。
蓋側には、見る角度によって表面にうっすらと浮かぶトラ。
ここは鞄の一番の顔になる部分。
ペタっとした表情になりやすいブラックのブッテーロですし、
職人さんはできる限り綺麗な面を選ぶでしょうから、
もしかすると能面のようになるだろうか?と思っておりましたが杞憂でした。
(革は同じものが一つとして無いので、取り寄せた革から、
表情・強度等を踏まえてどの部分を選ぶのかは、
職人さんの経験にお任せするしか無い部分だとは承知しております。)
良い選択をしてくださったことに感謝いたします。

そして各部の緊張感溢れるディテール。
メインの把手は質実剛健ながら、
この大柄なアタッシュケースとバランスの良いサイズ感ですね。
もしかすると、今回は敢えて大きめにしてくださったのでしょうか。
そもそもが重い鞄であるにもかかわらず、
この把手で持つと重さが軽減されるようです。
クッション性もあり、手に馴染みやすい形状のお陰ですね。

サイドに付けていただいた縦持ち用のサブ把手。
金具の納まりがちょうど側面の革幅に合わせてあり、
「お見事!」
としか言いようがありません。
こういうところに職人さんの美学や哲学、或いは頑固さというものが現れますね。

長めにしていただいた底面の脚は、
底上げ用のスペーサー(ですかね?)と円錐状の脚との納まりも美しく、
背面につけていただいた背の低い鋲もアクセントとして効いています。

もちろん、肝心要の縫製や角あての処理、コバ塗りの美しさも秀逸でした。


内装
先ず、上蓋側の内ポケットのフラップの迫力に驚きました!
威厳すら感じる、大判のブラックブッテーロ。
触れるとしっとりしており、もうたまりません。
また、こちらもペタっとした印象になりがちですが、
刻印と差し込みベルトが程よいアクセントになりました。
ベルトのサイズもバランスの良いプロポーションです。
このベルトの補強縫がまた格好良いんです。
普通はバッテンに縫うのでしょうが、それが途中で折り返し山形に!
これは補強も兼ねた職人さんの遊び・・・かな?(笑)
そしてフラップを差し込みベルトにしていただいたのは大正解でした。
とても開け閉めしやすく、中身も見易いです。
ポケット内部に設けていただいたベルクロ式の中仕切りも良かったです。

取り外せるようにしていただいた中仕切り蓋の納め方にも感心しました。
まさか摘み側のフレームにクッションを入れることで、摩擦力で保持する術があるとは・・・。
なるほど!な、想像を超えたディテールです。

内装色を暗めにしたので、決して華やかさはありませんが、
とてもシックで気取りのない、品格のある色合いに落ち着きましたね。


総じて、
『素晴らしい完成度!』
で、心から満足しております。
これこそ量産品では味わえないことでしょう。

門田様をはじめ、各工程担当の職人さん方にも、
心からのお礼と感謝の念を込めて一言、

良い品を納めてくださり、とても嬉しく思います。
誠にありがとうございました!

今後は、この素晴らしい鞄に負けぬよう、
自分も磨かないといけませんね(^^;;。

ブッテーロのメンテナンスは方法は承知しておりますので、
大切に、しかし実用的に、早速使わせていただきます。

それでは到着のご報告と、お礼まで。

また、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

追記:
こうなるとトランクも作りたくなっちゃいますね(笑)。

今年から年に2回くらいのペースで大阪へ遊びに行きたいと考えておりますので、
お時間さえ合えば、神戸に立ち寄り、門田様に直接お礼を申し上げることができればと思います。
近くへ伺う際はご連絡差し上げますね。(東京都 MEX)

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MEXさま、ありがとうございました。検品の時、「凄い鞄出来たなあ」と感動しました。
使い込んで、馴染んで、傷がついて、そして気がついたら「もう何十年使っているんだろう」というような、そんな人生のお伴が出来ますように。 匠乃トランク 門田