それは簡単な一通のお問い合せから始まりました。
「中クラシックトランクの幅(+5?程度)・厚(+2?)程度の変更を考えております。
内装は柔らかめの革をと思っておりますが、参考となるようなものがあればあわせて資料をお願いする次第です。」
ご質問に対してお送りしたメールがコチラです。
【ご返答】
上記のサイズ変更で、新たに作成する金型や設計図でプラス3〜4万円、内装を柔
らかい革(豚革スウェードがよく使われます)にすることで、追加が3〜4万掛か
ると思います。
もし内装を豚革スウェードにこだわらないなら、エクセーヌ風の生地(起毛した
スウェード風の生地)でプラス1万円程で変更致します。ただ、サンプルはエク
セーヌしかなく(ほぼ同じような生地です。エクセーヌだと豚革より高くなりま
す)、お送り出来るオリーブグリーンはエクセーヌ風生地には無いので、ベー
ジュ系の色になります。
その後、全部で149通!のメールがやり取りされ、完成したものがコチラのトランクです。
当初の中型クラシックトランクとは全く別の木枠入り蛇腹トランクです。
では、こだわりの数々をご紹介致します。
蓋の対面はベルト通しに鋲打補強がされます。これは、キャリーに取付けた場合にベルト通しに力がかかるための補強です。
画像では分らないですが、本体の辺には全てR指定(角の丸みの指定)がミリ単位でつけられ、見た目の固さを和らげ、当たっても痛くないように作られています。
こちらはフタの内側のポケットです。内装はピッグスウェードなので、このポケット内装面だけで1.3kg!ありました。
一つ上の写真のフタ内側ポケットは、フラップで隠れるようになっています。
ポケットを隠すフラップ以外にもう一枚、荷物隠しの仕切があります。
分りにくいですが、横から見るとコの字型になった中仕切です。
蛇腹式トランク故に、荷物のかさが上下するのに対応しています。
一つ上の写真の開いている仕切をかぶせた状態。
これでプライベートな荷物の目隠しが出来ます。
こちらは荷物押さえベルトと取付け金具。本体の底と上方の二カ所に取付け金具があり、荷物も量に応じて上下どちらにでも付け外しが可能です。
フタ内側ポケットを隠すフラップにつけられているタグ。
ご希望で亀の図柄が焼き押しされています。
このタグ以外にも、フタ内側ポケットの上には「匠乃固鞄」のオリジナルタグが付けられています。
納品後に頂いたお便り:
昨日、無事に我が家へと到着いたしました!
早速、製作していただいたトランクを拝見致しました。
誠に丁寧なお仕事に関心しつつ、製作前の相談&打合せを含め
多くのご配慮を頂いた事に感謝で一杯です。
お陰様で長年想い描いていたものをようやく形となり、
そのデビューの日が楽しみです。
その日までは、しばし眺めて鑑賞といったところでしょうか・・・。
添えられたお手紙に記されていた
「このトランクが・・・・成長し、子々孫々受け継がれ・・・」
の一文の如く、これからの成長が本当に楽しみな一品です!
まずは到着のご報告まで・・・
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早速「ヌメ革の手入れ法のファイル」を送付頂き有り難う御座いました。
トランクの到着以来、初使用に向け、毎回ほんの少しずつ撫で撫でしつつ
馴染ませてきたところです。
余程育ちがよかったのか、到着時の堅さもようやく我が家に和み、
この子(トランク)は誠素直に成長していくようです。
又、表・裏・側面など、その表情の絶妙な配置(文様)に
職人さんのセンス&苦心が伺えます。
色味の染みこみ具合による濃淡・微妙な凹凸が判別しやすい色だけに
少々蓋の盤面が心配でしたが、案外グレる事もなく、巧いこと周りち付き合い
育ってくれそうです。
ご配慮頂きました金具等の可動具合もそれぞれ何の違和感もなく、
長年の使用後も不具合は出にくいように思われます。
既にあるバッグとのペアリングもかなり良い具合で
色味&大きさ共々、申し分ありませんでした。
製作の相談にあたり、一段階づつ条件を切り分けつつ
気長にお付き合い頂いた門田様には感謝するばかりです!
北海道 D様
お便り有難うございました。
デザインしている段階では、ある程度決まったところで最後のご希望が叶えられず最初からやり直したり、角のR(カーブ半径)の指定では、手元と工場にあるサンプルで写真を送ったりしながら、数値出ししたりと、これまでにない精巧な仕様書作りとなりました。
また、内装の仕切板も、蛇腹タイプ故に荷物量の増減に対応出来るようにベルトの長さ調整やベルト取付け金具の位置調整に手こずりました。
それだけに、完成したものを見ていると感慨深い物があります。
それでは末永くよろしくご愛顧下さい。 カドタ
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